イスラムでは人が死んだら、その死体を洗う。
身内とかいう括りはなく、手が空いている同性の信者が洗う。
手順はあれど、基本はみんなでシャワーしてあげる感じ。大体4、5人で。
何度かやっていても、横たわって硬直している黄色い死体の顔を覆っている布を取る瞬間は、みんなの間の空気が微妙に変わる。その変化に気づかない振りをしながら淡々と作業を進めていく。
まず、お化粧など施してあればそれを落とす。
浴衣等着ていればハサミで切り、大きなバスタオルで身体を隠し、極力裸体を見ないようにして洗い始める。
お風呂の温度で、シャワー、あるいは桶や柄杓を使って、ザバザバと洗っていく。
「そっち持って」とか「シャンプーこっちお願い」などと言って洗っているうちに洗い場も、私たちの手も、死体も温まり、なんというか銭湯の女風呂のような和やかささえ出てくる。
身体も髪もしっかりシャンプーされた温かい死体に香料でいい匂いをつけ、清潔な布を巻きつける。
さっぱりした。
と思う。
イスラムの送り方は、いいと思う。
これも毎回思う。いざという時のために、やっぱりダイエットしなきゃ。恥ずかしいじゃない。